受験を終えて

30期生(2023年卒) 受験生・保護者(母)

 娘の受験が終わりました。受験生と家族は達成感や解放感に浸っているところですが、もうすでにエデュコは新年度が始まっています。先生方に感謝の気持ちをお伝えする機会としてこの場をお借りし、思いを記すことにいたしました。


 百人一首に夢中になっていた娘に、真剣に取り組んでいる方々の姿を見せたいと思い、3年生の時に複数の中高一貫の女子校の文化祭を見学に行きました。そのときに娘が第一志望校となる女子校に憧れを抱いたことから受験を考え始めました。入口として、合格に対する強い決意があったわけではありません。また、近年、中学受験がややドラマティックに扱われる向きに疑問を抱いていた部分もありました。ただその一方で、学ぶ意欲に応え、できるだけ環境を整えてやりたいという気持ちや、目標を立て挑戦することが娘にとって良い経験になるのではないかという期待がありました。
 そんなとき、エデュコの堅実で誠実な学習指導方針を知り、信頼して娘をお願いできる場所を見つけたと思いました。受験である以上一定の競争意識は必要ですが、必要以上に負荷をかけず、子供の自由意志を尊重してくださるエデュコ。(娘から話を聞く中で後に確信をもったのですが、)要するにテッカは子供が大好きで、それが指導方針の根本にあり、その理念に賛同された先生やスタッフの皆さまによって運営されているのがエデュコであるように思います。入塾説明会でこれまで抱いていた疑問が払拭された上、結果に至るまでの努力の過程や、エデュコで身に付けられるであろう学習スキルが、その後の娘の財産になると思えたことから入会を決めました。


 そんなことでスタートした娘の受験生としての三年間は、順風満帆に…と理想通りにはいきませんでした。やるべき課題があってもやらない。自身で掲げた目標には到底及ばない立ち位置ながら時間だけが過ぎていく。「目標を変更する?」「しない」のやり取りが繰り返され、気持ちのリセットのためにエデュコを一~二週間休むこともありました。恥ずかしながら、娘が何をしたいのか、どういう状況にあるのかが見えなくなっていました。湯田先生から「よくあることですよ」と励まされながらも不安を完全に払拭できず、信じて見守るという心構えができませんでした。なぜなら、私の目の前にいるのは、長い時間課題に取り組む手を止めている娘。うーん…これで本当に大丈夫? やらないことには目標が達成されるわけがないし、やれずに苦しんでいるのならば、合理的に考えて目標の変更をするのが良いように思えました。しかし最後まで第一志望校にこだわり続けたのは娘でした。


 さて、この時点で私は中学受験を決めた当初の思いを見失っていました。“中学受験の波”にのまれないよう冷静でいようとスタートしたつもりでしたが、いつのまにか親の焦りが先行し、娘が成長する過程を待てなくなっていたのだと思います。
 5年生の後期以降は学習内容の難易度が上がり、課題の量も増えます。やることがわかってはいても日常と同時進行で受験に向けた学習は進みます。子どもの幼さ故、受験生としての振る舞いが伴わないのも無理はありません。また、合格したい、と期待は高まるのに、合不合で突き付けられる自分の結果に、娘も不安が膨らみ葛藤していたに違いありません。


 そんな調子で好調、不調を繰り返しながら6年生の冬になりました。さすがに受験勉強の総仕上げである冬期講習ともなると、まさに悩む暇もない様子で真剣に自分と向き合いながら取り組んでいました。冬期講習で自分がやるべきことがより明確になった、とは本人談です(直前まで模索していたようです。その甲斐あってこの時期で驚くほど力が付きました!)。
 また、こうした変化が生まれたのには、塾友の存在が大きかったことはいうまでもありません。この直前期になると一気に受験生としての意識が高まり、受験を乗り越えようと互いに励まし合う姿がありました。塾友の有難さと、仲間とそうした関係を築けるようになった娘の成長を感じ、私自身も当初の受験の意義に立ち返ることができるようになったのです。
 迎えた受験。1月に進学したいと思える学校に合格をいただけたことで第一志望校に思い切って三回チャレンジできたこと。2月1日の受験校で不合格になったことで気を引き締めて翌日の第一志望校の初日に臨んだこと。
 2月4日に最後の受験を終えると、娘は清々しい表情をしていました。話を聞くと、試験の出来に自信があるわけではないものの、やり切ったという達成感があると言います。たとえ結果が叶わずとも受け入れる覚悟をしているようで、実に頼もしく、私は娘が自分なりの納得を得られたのだなと満足でした。
 そして2月5日、繰り上げ合格の連絡がありました。
 それには、3回の受験があったからこそ繰り上げの合格までこぎつけたこと。そして何より、娘が首尾一貫して第一志望校を諦めなかったこと。テッカが最終日に激励地点でかけてくださった「自分の物語を完結させなさい」の言葉通り、全てが因果の如くつながり辿り着いた合格でした。(中学受験はやはりドラマティックなのかもしれない。)


 これまで湯田先生には何度も相談に乗っていただきました。学習方法や受験プランはもちろんですが、気持ちの面でも親身になって支えていただきました。
 相談すると、直面している問題に対する方向性が示されるのはもちろんですが、先生の子供を信じる揺るぎなさに触れ、その度に親としての自分を見つめる機会になりました。
 相談の最後には先生は「大丈夫です」「待ってます」と仰います。私は浅はかなことに、しばらくは「合格できるから大丈夫」と、言葉を表層的に受け止めていました。そのため“大丈夫”が根拠なく合格を妄信することのように思われてわずかに不安が払拭しきれず、時が経つと残っていた不安が膨らんで心を占め…を繰り返していました。私の揺らぎが娘に影響を及ぼしていたことは言うまでもなく。
 先生の“大丈夫”にある奥行に気付き始めたのは、12月に入る頃だったと思います。
「大丈夫です、合格する力があると信じています。それにもし不合格でも大丈夫です、その経験から学び逞しく成長する力があると信じています」
 このような意味だと理解してからは、受験を迎えるのが楽しみになりました。
 そしてこれからも、失敗を極度に恐れて不安でオロオロするよりも、失敗したっていいじゃない!と構える親でありたいと思っています。
 子どもを「信じて見守る」こととはどういうことか。エデュコ生がテッカに教わる「わかるとできるは違うよ」を、娘の受験を通じて私も気付かされた思いです。


 受験を終え、娘は受験体験記を書き上げました。以前、娘の話を聞いていた小学校の友だちから「エデュコって親戚みたいだね」と言われたことがあったようです。確かに、もうすでに娘は、(多くのエデュコ族がそうしているように)成績表を見てもらいたいからこれからも頑張るとか、困ったらエデュコに相談に行くと言っていて、まさしくエデュコは親戚の家のような認識でいます。これからも娘にとって安心してふらっと寄れる場所なんだと思います。


 最後になりましたが、共に支え合った三十期生の皆さん、保護者の皆さんへ。
 エデュコで一緒に学んだ時間と経験は、娘にとってかけがえのない大切な思い出となりました。本当にありがとうございました。


 顔も知らない後輩にメッセージを寄せてくださったエデュコ族の先輩の皆さんへ。
 先輩方からの熱いメッセージに娘は勇気をいただきました。親の私も励まされ、心強く受験を乗り越えられました。ありがとうございました。


 そして、根気強くご指導してくださcったエデュコの先生方、スタッフの皆さまへ。
 湯田先生を始め、エデュコの皆さまは受験指導のみならず、子供の心をつかむプロフェッショナルです。個々の個性のほか、人間関係についても的確に把握されていて、子供を見つめる目の確かさに信頼をして娘を託すことができました。また、学ぶことは楽しいと思える純粋な気持ちのまま受験を終えられたこと、堅実な学習スキルを授けてくださったことなど、感謝の気持ちは言葉では言い尽くせません。
 勉強上手になれたと思います。3年間、ありがとうございました。